「学校現場の課題について」

岡山県議会6月定例会一般質問報告④

毎年、倉敷市内の幼稚園・小中学校を訪れ現場の課題を伺っています。

多くの学校園に共通する課題もあれば、地域的な要素や学校園の規模の違い等からくる個別の課題も沢山伺っています。コロナ対応についても国や教育委員会の決定を現場が何とかこなしている状況です。

学校の働き方改革が叫ばれていますが、一律の漠然とした業務削減目標は現場に響きません。

それぞれの現場に則した改革が必要であり、そこに落とし込んだ対策でなければ実行性はありません。

先生が「子どもと向き合う」という本質的な業務に力を注げるよう、真の働き方改革が求められています。

以下、質問要旨と答弁です。

学校現場の課題について
( 1 ) 働き方改革
ア学校の裁量
(質問)教員の長時間勤務が深刻な状況にあり、学校現場では、膨張し続ける学習指導要領や教員免許更新のための講習など、新たな業務が増すばかりだ。大規模校から小規模校がある状況では、それぞれの現場に則した改革が必要だが、学校の働き方改革については、一律ではなく、学校の裁量を広く認め、伝統や前例に縛られることなく自発的に取り組むことができる仕組みが求められるが、教育長の所見を伺いたい。
(答弁)まず、学校の裁量についてでありますが、学校経営は、法令や学習指導要領等の大きな枠組みのもと、学校の課題や保護者等のニーズを把握した上で、校長が設定した学校経営目標に基づいて必要な教育活動を設定したり、校内体制を整備するなど、各学校の判断で主体的に行うものであり、学校の働き方改革についても、その中で主体性に基づいて行われるものであると考えております。しかしながら、学校では依然として前例を踏襲し、業務改善が進みにくい状況もあり、県教委としても、管理職研修等において組織マネジメントの手法を取り入れながら、積極的に業務改善に取り組むよう指導しているところであります。

イ実態等の認識
(質問)これまでは「子どもたちのために」というマジックワードで教員自身も、親も、地域も教育行政も学校現場の窮状をしのいできたが、それも限界に近づいている。現場の実態、窮状をどう認識しているか、教育長の所見を伺いたい。
(答弁)次に、実態等の認識についてでありますが、令和元年度の勤務実態調査では、1月当たりの時間外業務が、小学校で約5 2時間、中学校で約7 0時間であり、平成2 8年度と比較して小中学校では約18%縮減しておりますが、依然として時間外業務が多い状況であります。その要因としては、教育内容の多様化や生徒指導上の問題の複雑化、事務量の増大、部活動への期待の高まりなどがあると認識しております。

ウ反映
(質問)学校現場の実態、窮状についての認識を働き方改革にどう反映させるのか、教育長の所見を伺いたい。
(答弁)次に、反映についてでありますが、県教委では、県総合教育センターに教員を集めて行う研修をオンラインでの実施に切り替えたり、各校の現状を踏まえ、スクールソーシヤルワーカーや教師業務アシスタント、部活動指導員等の外部人材を活用し、学校現場を支援しているところであります。また、業務の精選を一層進めるため、昨年度末に具体的な方策を示した手引を作成したところであり、それを参考にして、各校において、行事の精選、校務分掌の見直し、地域との連携による学校運営、IC T の有効活用による業務削減等の取組を推進しているところであります。今後とも、市町村教委と連携しながら、各校の実態に応じた働き方改革を推進してまいりたいと存じます。

( 2 ) 教員確保
ア現状認識
(質問)教員のブラックイメージが定着している現実を直視し、具体的な対策を打ち出すことが人材確保のために重要だ。教員を志望し、学んでいる学生に採用試験を受けてもらうことに力を注ぐべきだが、最終的に教員の道に進まない学生が増えている。今年度の採用試験出願者数は前年度から増加したものの、教員を志望し学んだ学生の多くが教員を諦めている現状をどう認識しているか、教育長の所見を伺いたい。
(答弁)次に、現状認識についてでありますが、国の調査によると、平成3 1年3月に国立大学教員養成課程を卒業した学生のうち、教職に就いた者は約6 5 %であり、結果的に3割以上の学生が教職に就いていない状況であります。教員養成課程に入学した学生が、教員以外の職に就いていることは誠に残念であり、学校現場の働き方改革を進めるとともに、在学中から教職の魅力についてしっかりと伝えていかなければならないと考えているところであります。

イ学生への働きかけ
(質問)県内の学生に対して、本県で教員になるためにどのような働きかけを行っているのか、教育長の所見を伺いたい。
(答弁)次に、学生への働きかけについてでありますが、これまで、県内の学生に対して、採用試験説明会とは別に、大学入学後の早い段階から教職の魅力を伝える説明会や、現職教員との座談会、県教委による教員志望の学生対象の継続した研修講座の実施など、教員になりたいという思いを高め、熱い気持ちを持った学生を育てる取組を行っているところであります。今年度は、新型コロナウイルス感染防止の観点から、大学等に学生を集めての取組に代えて、SN Sやホームページを活用し、現職教員が教職の魅力を伝える動画を配信したり、各市町村の教育の魅力を紹介する資料を掲載するなど、積極的に情報発信に努めているところであります。

ウ教育実習の在り方
(質問)教員への道の分岐点となっている教育実習の在り方について大学と協議する必要があるが、教育長の所見を伺いたい。
(答弁)次に、教育実習の在り方についてでありますが、県教委では、平成2 9年度から、県内教員養成系の1 5大学全てとともに教員等育成協議会を設置し、養成段階の教育実習のあり方や採用段階の本県の求める教員像、キャリアステージごとの教員研修などについて一体的に協議してきたところであります。今後も、こうした場で、教育実習のあり方や教職の魅力を学生に伝える取組等について引き続き協議し、より多くの学生が熱い気持ちを持って教職を志してくれるよう取り組んでまいりたいと存じます。以上でございます。

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